
企業のコンテンツマーケティングを担当されている方は、日々運用に頭を悩ませていることでしょう。たとえば「検索ボリュームが多いキーワードで上位表示を目指したいけれど、競合が多くて難しい…」といったことを感じていませんか?
検索ボリュームが多いキーワードばかりに注目しがちですが、見過ごしがちな「検索ボリュームが少ないキーワード」にもコンテンツで成果を出すためのチャンスが眠っているかもしれません。
こちらの記事では、なぜ検索ボリュームが少ないキーワードに価値があるのか、そして実際にどのようにそれらのキーワードを活用していくのか、具体的な方法や事例を交えて解説します。
「本当にそんなキーワードで効果があるの?」と疑問をお持ちの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
OUTLINE 読みたい項目からご覧いただけます。
検索ボリュームが少ないキーワードとは
まず、検索ボリュームが少ないキーワードとは具体的にどのようなものを指すのか、整理していきましょう。
月間検索数が〇〇以下など明確な定義があるわけではない
検索ボリュームが少ないキーワードといっても、明確に「月間検索数が〇〇以下なら少ない」という定義があるわけではありません。
一般的に、検索ボリュームが少ないとされるキーワードは月間検索数が数十回から数百回程度のキーワードを指すことが多いですが、中には月間検索数が10回未満、あるいはツール上では「0」と表示されるようなキーワードも含まれます。
ロングテールキーワード、ニッチキーワードとの違い
「検索ボリュームが少ないキーワード」と聞くと、「ロングテールキーワード」や「ニッチキーワード」といった言葉を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますので、それぞれについて、いったん整理してみましょう。
ロングテールキーワードとは
複数の単語を組み合わせた具体的な検索語句のことです。「SEO対策 東京 安い」のように、ユーザーの検索意図が明確で、コンバージョンにつながりやすい傾向があります。
ニッチキーワードとは
競合が少なくビッグキーワードの隙間にあるキーワードとされています。ビッグキーワードほど検索ボリュームは多くなく、1語または複数語句を組み合わせた検索語句を指します。
以上のことから、今回取り上げる検索ボリュームが少ないキーワードの多くは、ロングテールキーワードに該当するといえます。
また、検索ボリュームが少ないといっても、ユーザーの具体的なニーズや高い関心度を示しているキーワードもあると考えられるでしょう。
なぜ検索ボリュームが少ないキーワードにも注目すべきなのか?
記事を読んでいる方のなかには「検索ボリュームが少ないキーワードにも注目する価値があるのか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
こちらでは、検索ボリュームが少ないキーワードの対策にも取り組むべきと考える理由をご紹介します。
セッション数を増加できる
意外に思われるかもしれませんが、検索ボリュームが少ないキーワードをコンテンツで丁寧に拾っていくことで、セッション数の増加につながる可能性があります。
もちろん、そのキーワード単体が生み出すトラフィックは小さいかもしれません。しかし、そのようなキーワードを複数取り上げてコンテンツで対策していくことで、それらが束となり、流入の増加という結果を生み出すのです。
実際に運用支援をしているメディアで、これまで取りこぼしていた検索ボリュームの少ない多数のキーワードをリライトで対策していったところ、セッション数の増加につながり、結果的にメディア全体の流入を底上げすることができています。
コンバージョンにつながる可能性がある
検索ボリュームが少ないキーワード、とくにロングテールキーワードはユーザーの検索意図が具体的です。
たとえば、「敏感肌 化粧水 40代」と検索するユーザーは、ピンポイントで検索しており「化粧水」とだけ検索するユーザーよりも、購入意欲が高いと考えられます。
このように具体的な情報を求めているユーザーに的確なコンテンツを届けられれば、コンバージョンに至る可能性を高められるでしょう。検索ボリュームが少ないキーワードでも活用次第では、質の高い見込み顧客を獲得できるチャンスがあるのです。
競合との差別化ができる
検索ボリュームが多いキーワードは、当然ながら多くの企業が対策をしており、競争が激化しています。
しかし、検索ボリュームが少ないキーワードに目を向けると、まだ競合他社が気づいていない、あるいは手が回っていない「ブルーオーシャン」が見つかることがあります。
こうしたキーワードに対して、専門的で質の高い独自のコンテンツを提供することができれば競合との差別化ができ、優位性も得られるでしょう。
データが反映されていないだけでニーズがある可能性も
キーワードの調査にはツールを使っている方もいらっしゃると思います。
ツールを使って調べると検索ボリュームが少ない、あるいは全くないキーワードもあると思いますが、実際の検索ボリュームが反映されていないだけでニーズがある可能性も考えられます。
ツールはあくまで過去の傾向や特定のデータに基づいて数値を推計しているため、実際の検索数と一致するわけではありません。
したがって、「検索ボリュームが0だから、誰も検索していないし、ニーズもない」とすぐに判断するのは早計です。
実際には検索されているものの、ツールがその動きを捉えきれていないだけの可能性も十分に考えられます。
検索ボリュームが少ないキーワードの調査・選定方法
続いては、具体的にどのように検索ボリュームの少ないキーワードを調査・選定していくのか、実際に行っている方法の一部をご紹介します。
キーワードの調べ方
主に以下の3つの方法でキーワードを調べています。
- 検索結果の「他の人はこちらも検索」を辿る
- 有料のキーワード分析ツールの活用
- Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」を分析する
検索結果の「他の人はこちらも検索」を辿る
Googleでキーワードを検索した際に、検索結果ページの下部に表示される「他の人はこちらも検索」は、ユーザーの検索意図を調べるのに役立つ貴重な情報源です。
これらをクリックし、さらにニーズを深掘りしていくことで、ツールでは見つけられなかった思いがけないキーワードに出会えることがあります。
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有料のキーワード分析ツールの活用
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)といったキーワード分析ツールは、特定のキーワードに関連するさまざまなサジェストキーワードや疑問形キーワード、さらには競合サイトがどのようなキーワードで流入を得ているかを把握するのに役立ちます。
メインキーワードに関連するキーワードを一気に調査でき、検索ボリュームも一覧で見られるので検索ボリュームが少ないキーワードも見つけやすいです。

Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」を分析する
メディアを運営している場合、Googleサーチコンソールをキーワードの発掘に使わない手はありません。
「検索パフォーマンス」内にある「検索結果」では、ユーザーが実際にどのような検索クエリでサイトやコンテンツにたどり着いているか、あるいは表示されているかを確認できます。
中には、「表示回数はあるけれど、クリックされていない」キーワードや、コンテンツ制作時は意図していなかったキーワードで流入があることも見つけられるでしょう。これらはコンテンツ改善や新規記事作成の大きなヒントになります。
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キーワードの選び方
「キーワードの調べ方」 をもとにキーワードを調べた後は、その中からコンテンツで対策するキーワードを選んでいく作業になります。
選定基準の一例を以下にてご紹介しますので、参考にしてみてください。
- シーズン性のあるキーワードは積極的に取り入れる
- コンバージョンに近いキーワードは優先的に対策する
- 競合の対策状況を確認してキーワードを選定する
シーズン性のあるキーワードは積極的に取り入れる
キーワードのなかには、たとえば「こたつ しまう時期 2025」のように、特定の時期に検索需要が高まるキーワードがあります。
特定の時期が過ぎれば古くなるキーワードかもしれませんが、需要のある時期を捉えてコンテンツで対策することでセッション数を大幅に増やすことが期待できます。
シーズン性のあるキーワードは検索ボリュームが少ない、あるいは全くないという状態でも対策しておくのがおすすめです。
コンバージョンに近いキーワードは優先的に対策する
運用支援をしている収納系のメディアでは「〇〇 しまう場所がない」など、すでに収納場所にお悩みを持っていると考えられるキーワードは、収納サービスの利用に近い段階にいると判断し、対策するようにしています。
購入や契約に近い段階のユーザーが検索するキーワードは、検索ボリュームが少なくても非常に重要です。これらは対策しておくことで、見込みの高い顧客を逃さずキャッチできます。
競合の対策状況を確認してキーワードを選定する
ツールにもよりますが、前述したキーワード分析ツールのウーバーサジェストでは、競合のコンテンツにどのようなキーワードで流入が発生しているかについて調べることができます。
競合のコンテンツをツールを使って調査を行い、自社コンテンツで対策を検討しているキーワードが競合では未対策のようであれば、それはチャンスと言えるでしょう。
競合が未対策のキーワードを対策することで競合との差別化ができるだけでなく、ユーザーの検索意図を網羅的にカバーできるコンテンツを作れる可能性があります。
また、対策の結果、ユーザーにとって有益な記事だと検索エンジンに判断されれば順位の向上も期待できます。
検索ボリュームが少ないキーワードで成果を出すためのポイント
検索ボリュームが少ないキーワードを見つけ出せたら、次はいよいよコンテンツの作成です。
しかし、ただキーワードをコンテンツに盛り込めばいいというわけではありません。検索ボリュームが少ないキーワードを活用し、成果を出すためには重要なポイントがあります。
検索ボリュームがあるキーワードと組み合わせて対策する
まず理解しておきたいのは、検索ボリュームが少ないキーワードだけで爆発的にセッション数を増やすのは難しいという点です。
検索ボリュームが少ないキーワードは、あくまで「確実にニーズを拾い上げる」または「コンバージョンを高める」ための要素として捉えておきましょう。
そこでおすすめしたいのがコンテンツのメインテーマは、ある程度の検索ボリュームが見込めるキーワードを選び、そのコンテンツの中で検索ボリュームが少ない関連キーワードも対策していくという方法です。
たとえば、「コンテンツマーケティング」という比較的検索ボリュームの大きいキーワードをメインテーマとしたコンテンツの中で、「コンテンツマーケティング btoc 事例 最新」といった、より具体的で検索ボリュームの少ないキーワードに対する内容を盛り込むなど。
これにより、幅広くニーズに応えつつ、特定のニーズを持つ読者も満足させることができ、検索エンジンから評価向上にもつながる可能性があります。
メインキーワードと関連性の高いキーワードを対策する
無理にコンテンツのテーマと関連性の薄いニッチなキーワードをつめ込んでも、読者にとっては情報が散らかって分かりにくい記事になりますし、検索エンジンからの評価も得られにくいでしょう。
コンテンツの軸がぶれないよう、一貫性を持たせることが大切です。
極端な例ではありますが、収納系のメディアで突然「今年のスイーツトレンド」のようなコンテンツを作成しても、本来ターゲットとしたい読者には響きませんよね。
検索ボリュームが少ないキーワードを選ぶ際は、必ずコンテンツのメインテーマや、サイト全体の主題との関連性を重視してください。
検索ボリュームが少ないキーワードを活用したコンテンツの事例
ここまで読まれた方のなかには「本当にそんな検索ボリュームが少ないキーワードで検索する人がいるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
こちらでは、実際に収納系のメディアのコンテンツ制作で検索ボリュームが少ないキーワードを活用して改善につながった事例をご紹介します。
「こたつの収納」の記事をリライトし、流入を昨対比1.8倍に
春ごろにシーズンが高まる「こたつの収納」に関する記事のリライトを行いました。
昨年も同時期にリライトをしていますが、キーワードを深堀りしていくとまだまだ対策ができていないキーワードがあると判明。
今年のリライトでは検索ボリュームが少ないキーワードを対策していくことにしました。
対策した検索ボリュームが少ないキーワードの一例
- こたつ しまう時期 2025:検索ボリューム 110
- こたつ しまう時期 3月:検索ボリューム 110
- コタツ いつまで使う:検索ボリューム 140
- こたつ いつからいつまで :検索ボリューム 10
- こたつ 片付け: 検索ボリューム 90
- こたつコード収納:検索ボリューム 50
- こたつ布団収納 どうしてる :検索ボリューム 90
- こたつ出しっぱなし:検索ボリューム90
リライトの結果、セッション数を昨対比1.8倍に増やすことができました。
「コタツ いつまで使う」というキーワードではクリックが約2倍に、そして「こたつ しまう時期 2025」というキーワードではリライト前はクリックがゼロの状態でしたが、リライト後はクリックが42まで増えていました。
また、セッション数の増加だけでなく、コンテンツからお問い合わせへの遷移も発生し、コンバージョンにつながる行動も見られました。
「毛布 保管」の記事をリライトし、流入を昨対比1.9倍に
「毛布 保管」の記事は、先ほどの「こたつの収納」の記事同様に毎年リライトをしている記事になります。Googleの検索結果の「他の人はこちらも検索」を調べると未対策のキーワードが見つかり、対策をすることにしました。
対策した検索ボリュームが少ないキーワードの一例
- 毛布 保管方法:検索ボリューム 50
- 毛布 しまう時期:検索ボリューム 110
- 毛布 しまう前に洗う 使う前に洗う:検索ボリューム 110
- 毛布 洗わないで しまう:検索ボリューム 50
- 毛布 しまう前 干す:検索ボリューム 10
- 毛布収納 立てる:検索ボリューム 90
- 毛布 クッションにする:検索ボリューム 70
- リビング 毛布 収納:検索ボリューム110
リライトの結果、セッション数を昨対比1.9倍に増やすことができました。
「毛布 保管方法」ではクリックが6倍に増加、その他追加したキーワードからもクリックの発生や検索結果での表示が増えるなどが見受けられました。
また、この記事から店舗・料金ページへの遷移も複数発生しており、読者をコンバージョンにつながる可能性のある見込み客へとステップアップさせることに寄与したといえます。
コンテンツ制作にお悩みの方はAtoJを活用
ここまで、検索ボリュームが少ないキーワードの重要性や活用方法について解説してきました。
しかし、この記事を読んでいる方のなかには「自社で同じように実践するのは難しそう…」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
もし、コンテンツ制作にお困りならAtoJ(エートゥジェイ)にご相談ください。AtoJはコンテンツマーケティングをサービスとして提供しており、これまで100社以上の支援実績があります。
次は、数ある企業の中からコンテンツの運用支援としてAtoJが選ばれる理由をご紹介します。
新規・リライト問わず徹底的な調査・分析を行う
記事の前半でも述べましたようにAtoJでは有料のキーワード分析ツールなどを活用し、コンテンツのキーワード選定や、運用支援しているメディアの競合にあたるコンテンツの調査などを行っています。
新規・リライト問わずツールから収集したデータをもとに、戦略的にキーワードを選定し、上位表示や流入の増加につながる道筋を立てています。
記事公開後も改善を繰り返し行う
記事作成後は、分析・改善を繰り返し行い、定例ミーティングにて記事の経過を報告しています。
記事の流入数が下がっている場合は、ツールを使用して要因を分析します。季節的なものなのか、記事の内容に問題があるのか、検索ニーズ自体が下がってるのかなど、考えられる要因を数値をもとに特定し、記事のリライトを実施しています。
作成した記事は責任を持って管理し、ひとつひとつの記事がメディア全体の成果につながるよう改善を続けています。
コンテンツのSEO対策が得意
SEO対策は検索エンジンからの評価だけに捉われず、Googleが重要視しているユーザビリティにも着目して実施しています。
タイトルや見出し、本文、内部リンクなど記事を構成する要素ごとに必要とされる対策を行い、検索エンジンと読者双方にとって、有益な記事を作成しています。
過去には、記事の改善を行い約2,000PVから約15,000PVに改善した事例や、約20,000PVのメディアを半年で約100,000PVに改善した事例があります。
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まとめ
今回は、検索ボリュームが少ないキーワードの重要性、具体的な調査・選定方法、そして成果を出すためのポイントについて、AtoJの事例を交えながらご紹介しました。
検索ボリュームの大きさに目を奪われがちですが、本当に大切なのは、その数字の裏にある「ユーザーの検索意図」を深く理解し、それに対して対策していくことです。
検索ボリュームが少ないキーワードへの取り組みは、一見地味に思えるかもしれません。しかし、ひとつひとつの小さなニーズに丁寧に応えていくことで、それはやがて確かな成果へとつながっていくはずです。
「自社のコンテンツ戦略を見直したい」とお考えの方は、 「お問い合わせ」 からお気軽にご相談ください。最適なご提案をさせていただきます。
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