
自社ECサイトの運営担当になったものの、EC運営を経験したことがないという方はいらっしゃるはずです。業務内容が多岐に渡り、求められるスキルも多いため、未経験の方は戸惑ってしまうかもしれません。
EC事業を成功させるためには、業務の目的や内容を理解したうえで、質を高めていくことが重要です。
では、具体的にECサイトの運営ではどのような業務を行うのでしょうか。ECサイト担当者の方が知っておきたい、ECの運営業務の基礎知識をご紹介します。
【目次】
■ECサイトとは?
■ECサイトの運用業務
・フロント業務
・バックエンド業務
■具体的な業務内容
・商品企画
・仕入れ
・サイト制作
・ささげ業務
・マーケティング
・在庫管理
・受注・発送作業
・アフターサービス
■ECサイトの構築・運営にかかる費用
■ECサイト運営に求められるスキル
■業務を効率化するのが運営のポイント
■ポイントを押さえてECサイトを運営しよう
■ECサイトとは?

最初に、ECサイトとはどのようなものか確認しておきましょう。ECは「Electric Commerce」の略で、インターネット上で行われる商品やサービスの売買を指します。
ECサイトとは「インターネット通販」や「ネットショップ」のことだと考えると、わかりやすいかもしれません。
出店形態によって、楽天市場やAmazonといったモール型サイトに出店する「モール型」と、自社独自のECサイトを構築して商品販売を行う「自社サイト型」に大きく分けられます。
日本国内の消費者向けEC(BtoC-EC)の市場規模は、2020年時点で19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)でした。※1
ただし、市場規模全体におけるEC市場規模の割合を示す「EC化率」は増加傾向にあり、引き続きEC市場は進展を続けています。
また、近年は誰でも簡単にネットショップを開設できるようになり、ECサイトの数が急増している点も見逃せません。今後も、さまざまな企業がECサイト市場に参入していくものと考えられます。
※1 出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」より
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
■ECサイトの運用業務

ECサイトの運用業務は、大きくフロント業務とバックエンド業務の2つに分けることができます。それぞれの概要は、以下の通りです。
・フロント業務
商品企画や仕入れ、サイト制作、マーケティングといった業務は、フロント業務に分類されます。ユーザーが目にする部分を担当する業務で、集客やブランドの認知向上、売上アップなどを目指す、企業の利益に直結する部門です。フロント業務がうまく回らないと、効果的に売上を伸ばしていくのが難しくなってしまいます。
・バックエンド業務
商品登録や受発注管理、在庫管理、入金管理、物流管理、問い合わせ対応などがバックエンド業務に分類されます。主にシステム部分を担当し、ECサイトの運営や成長を支えるのが目的の業務です。直接的に売上に結びつくものではないですが、バックエンド業務のミスが減るほど、顧客満足度を高めることができます。
■具体的な業務内容
大まかなECサイト運営の業務をご紹介しましたが、具体的にどのようなことを行うのか、イメージしにくいかもしれません。
ECサイトにおける基本的な業務内容を、大まかな流れに沿ってご紹介します。
・商品企画
フロント業務の中でも、特に大切な業務といえるのが商品企画です。ユーザーニーズやトレンドなどを考慮し、販売する商品の企画・検討を行います。手の込んだECサイトを構築し、マーケティング戦略がハマったとしても、商品そのものが良いものでないと、売上は見込めないでしょう。ブランドコンセプトに沿って商品を企画し、競合他社との差別化を図ることが重要です。
また、どれくらいの期間でどれだけ売るのかを、原価率や利益なども計算しながら、半年から1年先まで見越してプランを作成する必要があります。
・仕入れ
企画した商品を、実際に仕入れるフェーズです。この時、販売予測を誤ると、大量の在庫を抱えたり、在庫切れで販売機会を逃したりする可能性があります。商品企画と同様に、ユーザーニーズやトレンドを分析したうえで、必要な数を仕入れておく、複数の仕入れ先を確保して万が一の欠品を防ぐといった対策が必要です。
・サイト制作
自社で初めてECサイトを運営する場合は、ECサイトの制作も必要です。ブランドや商品に適したデザインかどうか、訪問したユーザーが使いやすいかどうかの2点を考慮して、サイトを制作しましょう。美しいデザインのサイトを構築したとしても、使い勝手が悪いとユーザーが離脱してしまう恐れがあります。また、ECサイトは一度作ったら終わりではありません。定期的にサイトの更新を行い、顧客の購入体験を改善していくことが求められます。
・ささげ業務
「ささげ」とは、商品の「撮影」「採寸」「原稿(商品紹介)」の頭文字を取ったものです。ECサイトでは、実際の店舗と異なり、商品を直接目にしたり手に取ったりすることができません。わかりやすい写真や商品紹介文を用意して魅力を伝えるのは、売上を左右する重要な要素のひとつです。アパレル用品の場合は実際にモデルが試着している写真も用意するなど、商品のサイズ感や素材の質感、印象などを確実に伝える工夫を行うことが大切です。
・マーケティング
魅力的な商品をたくさん揃えたECサイトだとしても、何もせずにユーザーがサイトを見つけてくれることは稀です。リスティング広告やバナー広告の出稿、コンテンツマーケティング、SEO対策、SNSマーケティングなどの施策を行い、ユーザーに自社サイトや商品を見つけてもらう必要があります。また、マーケティング施策は一度実行したら終了ではありません。効果測定と施策改善を行うことが大切です。
・在庫管理
在庫の過不足を管理する業務も、ECサイト運営では重要な業務です。過剰在庫や在庫切れが起こらないように適宜調整を行う必要があるほか、販売予測に基づいた在庫数の設定も求められます。
特に、複数のチャネルで商品販売をしている場合は、在庫管理が乱雑になる恐れがあります。在庫管理システムの導入を検討するのも良いでしょう。
・受注・発送作業
受注管理とは、ユーザーからの注文を受けたら在庫数を確認し、顧客に確認メールを送信する作業のことです。顧客満足度を高めるためには、正確かつスムーズに作業をこなす必要があります。
受注管理が終わったら、該当商品をピックアップして梱包し、発送作業を行います。メッセージカードを添えたり、商品を安全に配送する工夫をしたりして、企業のイメージアップにつなげることが可能です。
ただし、ここでミスが起こると返品やクレームなどが発生し、顧客満足度の低下につながる恐れがあります。ヒューマンエラーを減らすことが重要です。
・アフターサービス
ユーザーの手元に商品が届いた後のアフターサービスも、重要な業務のひとつです。クレームや問い合わせ対応、レビュー投稿の依頼などが含まれます。アフターサービスを手厚くするほど、ブランドのファンを増やす効果が期待できます。新規顧客の獲得ではなく、リピーターを増やして売上を安定させるために欠かせない業務といえるでしょう。
■ECサイトの構築・運営にかかる費用
ECサイトを構築・運営する際は、費用が発生します。ECサイトの運営にかかる費用としては、システム利用料や広告出稿費、配送料、独自ドメインの維持費用、サーバー維持費などが挙げられます。
また、ECサイトは構築方法にいくつか種類があり、特徴や構築にかかる費用も変わります。ECサイトの構築方法ごとの特徴と費用感の目安は、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご確認ください。
⇒「ECサイトの構築方法と各プラットフォームの特徴を初心者にもわかりやすく解説」
■ECサイト運営に求められるスキル
ECサイト運営で求められるスキルは、大きく以下の4つに分けられます。
・Webマーケティング:ターゲット設計、競合調査、SEOやSNS、広告運用など
・クリエイティブ:写真撮影や特集ページ・バナーなどのデザイン・コーディング業務など
・商品企画:市場分析やトレンド調査を行い、商品開発やプライシングするスキル
・コミュニケーション能力:クレームや問い合わせ対応などを行うスキル
求められるスキルが非常に幅広く、マーケティングやクリエイティブなど、専門的な知識が必要なことも多いです。規模が小さい企業では1人でこれらの業務を行わなければいけない場合もありますが、容易ではありません。
可能な場合は、外注を使うことをおすすめします。ただし、外注を活用する場合も、業務内容を把握しておいた方がスムーズに進めやすいです。
■業務を効率化するのが運営のポイント
前述の通り、ECサイトの運営業務は多岐に渡ります。できる限り効率化することが重要です。売上が小規模で受注が少ない間は問題なく対応できたとしても、受注が増えるほど多くの人員が必要となり、業務が滞ったりミスが発生したりしやすくなります。
特に、専門的なスキルを必要とする業務の場合は、自社内での対応が困難なこともあるでしょう。クリエイティブなスキルが必要なささげ業務や、単純作業になりやすい物流関係の業務は、専門業者に委託するのもおすすめです。
費用は発生するものの、プロに業務を任せることができ、作業品質が高くなる可能性があります。
■ポイントを押さえてECサイトを運営しよう
ECサイトの運営に関わる業務は、非常に多岐に渡ります。場合によっては、少人数で業務をこなさなければいけないことも考えられます。外注も上手に活用して、業務を効率化するのが、ECサイト運営のポイントです。AtoJは、効率的に時間を使うためのポイントや外注したい業務など、ECサイト運用のポイントについてまとめた資料を作成しました。ECサイトを初めて運営していく方や、運用体制が整っておらず不安を抱えているという方は、ぜひ以下の資料をご参照ください。
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