自社のECサイトを新しく構築したりリニューアルしたりする際は、多くの準備が必要です。スムーズにECサイトを作るためには、サイト制作の手順を踏まえたうえで、事前にどれだけ準備を済ませておけるかがポイントになります。しかし、作り方の手順やどのような準備をすれば良いかわからないという担当者の方も多いでしょう。
ここでは、ECサイトを制作する際の手順や事前に準備したいもの、制作時の注意点などをご紹介します。

【目次】
■ECサイトの構築方法
■構築方法ごとのECサイトを作る際の手順
・モール型の場合
・ASPの場合
・オープンソースの場合
・クラウドECやパッケージの場合
■ECサイトを作る前に準備しておきたいもの
・コンテンツ
・商品の写真
・サーバー
■ECサイト制作の際の注意点
・要求整理や要件定義
・ユーザーが使いやすいかどうかを意識する
・改善を行いやすいサイトかどうか確認する
■ECサイトをリニューアルする際の注意点
・自動ログインできなくなる
・流入が減る恐れがある
■ECサイトは作る前の準備が重要
 

■ECサイトの構築方法

 ECサイトの構築方法

ECサイトは、Amazonや楽天市場といったネットショップに出店する「モール型」と、自社で独自ドメインを取得してECサイトを立ち上げる「自社EC」の2種類に大きく分けられます。
自社ECは、ASPやオープンソース、パッケージ、クラウドEC、フルスクラッチなど、構築方法によってさらに細分化されます。ECサイトの利益を上げるためには、作りたいサイトや売上規模に適した構築方法を選ぶことが重要です。

構築方法ごとの特徴や費用感については、以下の記事で紹介しているので、併せてご確認ください。

⇒「ECサイトの構築方法と各プラットフォームの特徴を初心者にもわかりやすく解説」
 

■構築方法ごとのECサイトを作る際の手順

 構築方法ごとのECサイトを作る際の手順

具体的に、ECサイトを作る際はどのような手順を踏むのでしょうか。モール型やASP、パッケージなど、構築方法ごとの大まかな流れをご紹介します。

・モール型の場合

モール型は、Amazonや楽天市場、ヤフーショッピングなど、どのモールに出店するかによって細かな手順は異なりますが、大まかな流れとしては以下のようになります。

1.出店の申し込みを行う
2.決済や配送方法、出品する商品など、ショップ運用に必要な準備を行う
3.審査が完了次第、ショップの開店

・ASPの場合

ASPは、導入が簡単で初心者でもECサイトを運用しやすいプラットフォームです。サイトデザインはテンプレートから選ぶだけなど構築手順が非常にシンプルで、時間をかけずにECサイトを開設できます。
サービスによって細かな手順は異なるものの、大まかな流れは以下の通りです。

1.使用するASPを選定する
2.ASPに登録し、ショップ名などの基本情報を入力する
3.テンプレートからデザインを決める
4.商品の登録を行い、ECサイトを公開する

・オープンソースの場合

オープンソースは、無償で公開されているソースコードを使ってECサイトを作る方式です。社内にノウハウがある場合は、制作会社に頼ることなくECサイトを構築できます。

1.サーバーを準備する
2.サーバーにソフトウェアをインストールする
3.基本設定やデザイン制作を行う
4.決済システムを導入する
5.テストを行い、問題がなければ公開する

ただし、ECサイト公開後も自社内で保守運用を行う必要がある点や、ソースが一般公開されている為、特にセキュリティ面には注意が必要になります。

・クラウドECやパッケージの場合

クラウドECやパッケージによるECサイト構築はASPやモール型に比べると時間がかかりますが、クラウドECの場合は自動アップデート、パッケージの場合は自社に合わせたカスタマイズを行えることが魅力です。一般的な導入手順は以下のようになっています。

1.どんなサイトを構築したいか社内で検討する
2.開発会社やデザイン会社を選定する
3.どのようなサイトを作るのか、開発会社やデザイン会社と打ち合わせを行う(要件定義)
4.システムの設計・開発
5.商品登録を行う
6.システムのテストやトレーニングを行い、ECサイトをリリースする

■ECサイトを作る前に準備しておきたいもの

 ECサイトを作る前に準備しておきたいもの

ECサイトを構築する際は、事前に必要なデータなどを用意しておくとスムーズに制作が進み、サイト公開にかかる時間を短縮できます。
事前に準備しておきたいものの例をご紹介するので、ECサイト制作を検討している方は参考にしてみてください。

・コンテンツ

ECサイトのアクセス数を増やし、ユーザーからの認知を高めたり購買判断をしてもらったりするためには、まとまった情報量が欠かせません。
商品そのものの情報に加えて、取り扱う商品に関係する内容のコンテンツをあらかじめ準備しておきましょう。例としては、アパレル商材を取り扱うサイトならコーディネート方法やアイテムの素材について紹介するコンテンツ、食品関係ならその食材を使ったレシピなどが挙げられます。

また、レビュー(口コミ)も商品の売上を伸ばすための重要なコンテンツです。レビューを記載しやすい商品ページの構築や、レビューの記載を促す施策も行うと良いでしょう。

・商品の写真

実店舗と異なり、ECサイトでは実際に商品を見たり触ったりすることができません。商品紹介文やコンテンツを豊富に掲載していたとしても、イメージが湧きにくく、ユーザーが購入判断できない可能性が高まってしまいます。
サイズや素材感のわかる商品写真を、必ず用意しておきましょう。具体的な商品の使用イメージが分かる写真を掲載するのもおすすめです。

・サーバー

ASPやクラウドECなど、ベンダー側がインフラ提供を行う構築方法の場合は不要ですが、自社でサーバー管理・運用したい場合はサーバーの準備が必要になります。
パッケージやオープンソースをインストールできるか、セキュリティー対策は万全かなどを確認して、ECサイト用のサーバーを選定しておきましょう。

■ECサイト制作の際の注意点

 ECサイト制作の際の注意点

ECサイトの構築を制作会社に依頼する場合は、事前にポイントをいくつか押さえておく必要があります。事前準備が不十分だと、完成したサイトがイメージと違う、使い勝手が悪いなどの理由で作り直しとなり、改修費用が余計に嵩む恐れがあるためです。
ここからは、ECサイト制作の際に確認しておきたい注意点をご紹介します。

・要求整理や要件定義

新しくサイトを作る場合やリニューアルの場合でも、社内の意向を整理したうえでカートベンダーやデザイン会社に伝えることが重要です。「なぜECサイトを作りたいのか」「どのようなサイトを作りたいのか」「どれくらいの費用をかけられるのか」などを明確にしておきましょう。
デザインや費用感が定まっていないと、制作会社側もサイトのイメージを持ちにくく、想定外のカスタマイズで費用が不足する恐れもあります。

制作会社側とイメージを共有できるように、参考になりそうなサイトをいくつか見繕っておきましょう。競合サイトがどのようなシステムや機能を採用しているか確認しておくのもおすすめです。

・ユーザーが使いやすいかどうかを意識する

美しいデザインや豊富な機能を備えたサイトだとしても、商品が購入しにくいとユーザーの離脱につながる恐れがあります。ECサイトを制作する際は、ユーザーが使いやすいサイトかどうかを意識しましょう。
商品を探しやすい、すぐに購入ページに進めるなど、ユーザーが使いやすいデザインのサイトの方が、顧客満足度が高くなりリピーターを獲得できる可能性は高まるはずです。

・改善を行いやすいサイトかどうか確認する

ECサイトは1度作ったら終わりではなく、常に改善を図り続ける必要があります。サイト改善を行いやすい設計にしておき、ユーザーの意見や反応などを反映できるようにしましょう。
また、ECサイトの売上が伸びたり取扱商品が増えたりして、機能拡張やカスタマイズが必要になることも考えられます。ECシステムの拡張性やカスタマイズの自由度も重要なポイントです。

■ECサイトをリニューアルする際の注意点

 ECサイトをリニューアルする際の注意点

新規でサイトを立ち上げるのではなく、サイトリニューアルを機にシステムを変更する企業も多いと思われます。リニューアルでシステムを乗り換える際は、サイトの使いやすさなどに加えて、以下の2点にも注意が必要です。

・自動ログインできなくなる

ECサイトのシステムを乗り換えた場合、自動ログインが無効になり、ログインするために改めてパスワードやIDなどを入力し直すことになります。また、定期便も再登録しなければいけません。
既存顧客の離脱につながる恐れがあるため、ログインや定期便の再登録を促すメールの送信や、キャンペーンの実施といった対策が必要です。

・流入が減る恐れがある

システムの乗り換えによってサイトのページURLが変わると、検索エンジンからの流入が減る恐れがあります。リニューアル前に検索からの流入が多いページを把握しておき、リニューアル後はページのURLをそのまま残すか、リダイレクト設定を行っておきましょう。
また、SEOに影響を与えるリスクがあるため、情報量を削るのもできるだけ避けてください。

ただし、検索ニーズに合わせたカテゴリ設計の構築など、リニューアルはサイト構成を見直すチャンスでもあります。リニューアルを機に、一度サイト構成を大きく改良してみるのも良いかもしれません。

■ECサイトは作る前の準備が重要

ECサイトを作る際に重要なのが、サイト構築前にコンセプトを固めておくことです。全体のコンセプトが固まっていれば、制作工程がスムーズに進みます。事前準備は必要になりますが、結果としてサイト構築にかかる時間は短くなる可能性が高いです。
ご紹介した作り方の手順や注意点を押さえて、サイト制作を行う前の準備を済ませておきましょう。

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