国内EC構築ソリューション市場占有率「11年連続1位」と、長年にわたり国内シェアトップをキープしているecbeing社。昨年夏からはクラウド型CMS「SiteMiraiZ(サイトミライズ)」から派生したMAツール「MICOMA」を導入し、営業面における課題を解決し、さらに契約数を伸ばしているという。そこで今回はecbeingの斉藤 淳さんと塩見 駿介さんに、導入の背景と導入後の具体的な変化について聞いた。

<事業内容>

ECサイト構築/コーポレートサイト、サービスサイトなど各種ECサイト構築/ECビジネスコンサルティング/ECサイトデザイン制作/ECプロモーション・マーケティング/EC専用インフラサービス

<従業員数>

734人(2019年4月現在)※グループ合計

eビジネス全般をワンストップで支える体制をもつecbeing社

ecbeing 斉藤様

――本日はよろしくお願いします。最初に、御社の事業内容について教えてください。

斉藤:弊社は主にECサイト構築パッケージの開発・販売を行っています。国内EC構築ソリューション市場占有率のシェアでは「11年連続で1位」というポジションをキープしています。私たちの強みや他社と差別化できているポイントは、EC構築だけでなく、「eビジネス全般を支える体制」をもっているところですね。

ECのパッケージ開発や個別のカスタマイズ、インハウスのデザイン制作、セキュリティはもちろん、EC構築後のオムニチャネル支援をはじめ、広告運用やSEO対策、コンテンツマーケティングなどさまざまなマーケティングのサポートもお手伝いさせて頂いており、入口から出口までをワンストップでご提供しています。

――御社のように販売やセキュリティまでをワンストップで提供できるパッケージメーカーは少ないのでしょうか?

斉藤:少ないというよりも、我々のお客様のように年商規模が数億円以上のEC構築で言いますと、ワンストップで提供できているところは弊社ぐらいだと思います。

特に私たちが力を入れているのは「売上を伸ばすための機能やサービス・支援」です。顧客の行動や売上を分析するためのCRMは非常に使いやすく、深く分析ができると自負しています。

また、インスタグラムを使ったマーケティングツールの「visumo」、レビュー専門の閲覧・投稿サービスの「ReVico」、AtoJが提供しているクラウド型CMSの「SiteMiraiZ(サイトミライズ)」や、これから詳しくお話しする「MICOMA」など、外部機能との連携も積極的に取り組んでいるところも強みだと思います。

マーケティング専門スタッフがいなくても活用できるMAツール「MICOMA」

ecbeing 斉藤様_2

――今、お話に出てきたMAツール「MICOMA」を導入した背景について教えてください。

斉藤:導入した背景をお話する前に、弊社が契約を結ぶまでの流れを簡単に説明します。

私たちの主なお客様はECで販売事業を行っている法人なので、まずは法人社内のEC担当者にecbeingのことを認知していただく必要があります。

そこで弊社では、展示会や自社開催のセミナーをはじめ、リスティング広告やコンテンツマーケティングなどを行い、さまざまなチャネルにてタッチポイントをつくります。そこから興味をもっていただいたお客様に、営業チームからアプローチ、ヒアリング・提案・受注というのが基本的なプロセスです。

おかげさまで契約数は順調に伸びていますが、お問い合わせ件数をさらに増やしていきたいという目標がありました。それを達成するうえで、私たちは「どういうユーザーが、どのページを、どのぐらい見ているか」を可視化できていないという課題が見えてきました。

以前から展示会を実施した後にフォローメールを送り、セミナーの案内を出していましたが、セミナーに来ない方には何もアプローチできていないなど、可視化できていないことによって“取りこぼし”がたくさんあると感じていました。

ユーザーがどういうルートでWebサイトのページを見て、セミナーに申し込んでいただいたのかがわかれば具体的な施策を打つことができます。施策を打ち出すための“根拠”がほしいと思いました。

――ユーザー行動を可視化するツールはたくさんありますが、その中で「MICOMA」を採用した理由はどこにあるのでしょうか?

斉藤:弊社には、開発チーム、カスタマーサポートチーム、営業チームがいますが、マーケティングを専門で行うチームはいません。

それでも私たちが抱いていた課題を解決するためにMAツールを導入しようと考えましたが、専門チームがいない状態では「オーバースペックで難しい」という判断でした。

どうしようかと考えているときに、AtoJがもつクラウド型CMSの「SiteMiraiZ」からMA機能だけが抽出された「MICOMA」がリリースされると知りました。「MICOMA」の設計思想は「マーケティングの専門家ではなく、現場の営業マンでも使うことができる」と聞いていたので、私たちのようにマーケティングチームがいない企業でも簡単に使えると思いました。

今、実際に使ってみても実感していますが、「マーケティングチームはいないけど、マーケティング施策をしっかりやりたい」と考えている弊社のレベルに合っていると思い、導入を決めました。

ユーザー行動を可視化することで契約の確度がアップ

ecbeing 塩見様

――現在、御社では「MICOMA」をどのように使っているのでしょうか?

塩見:大きくは次の4つのことを行っています。

1.展示会後のフォローメールの配信

2.サイト内接客

3.サイト上で資料をダウンロードした方へのステップメール

4.日々のサイトを使いやすく改善するための分析

  1. 1.展示会後のフォローメールの配信
  2. SiteMiraiZ フォローメール キャプチャ画像

以前から展示会で名刺を交換した方にはフォローメールを送っていましたが、「MICOMA」では、お送りしたフォローメールが開封されたか、またメール内のURLをクリックされたかどうかがデータとしてわかりますので、1通目のメールを開封してクリックした興味の高そうなユーザーには架電をしています。

逆にクリックされていない、そもそも開封されていなければ、それぞれ別々の内容で2通目のフォローメールをお送りしています。

2.サイト内接客

SiteMiraiZ WEB接客 キャプチャ画像

サイト上の接客では、ユーザーの特性に合わせた接客ができるようになりました。以前はマーケティングを兼業で担当している私がサイトのユーザー行動を解析して、どう対応したら最適かを考えて、施策・検証するという形だったので、ユーザーごとに最適なアプローチをとることができていませんでした。その点も「MICOMA」の接客ツールを使うと、再訪問したユーザーには、リピーター向けに最適化したバナーを表示できるので適切な接客を行うことができます。それによって月に10件以上の問い合わせが新規に生まれています。

3.サイト上で資料をダウンロードした方へのステップメール

SiteMiraiZ メール配信シナリオ キャプチャ画像

「資料ダウンロード」に関しては、「MICOMA」の導入をきっかけに資料をダウンロードできる仕組みを導入しました。

「MICOMA」では訪問したお客様のIPから、どの企業様からのお問合せかが把握できます。契約の確度が高そうなお客様に対しては営業チームが架電するなどアプローチをかけるようにしました。さらにダウンロードしていただくだけではなく、ダウンロードしたお客様に詳細の案内を自動で送ることができるステップメールも実施しています。

4.日々のサイトを使いやすく改善するための分析

SiteMiraiZ 訪問分析 キャプチャ画像

以前はGoogle Analyticsを使っていましたが、見ることができる範囲が限られていて「もう少し深堀りをして分析したい」と思ってもできないことがありました。

「MICOMA」の分析ツールは、社内で所有している名刺情報と同期させることでアクセス先のIPアドレスから企業名までがわかり、さらに、どの企業が、いつ、どのページを、何回アクセスしたかも簡単にわかります。

これはつまり、「ユーザーがどのページ、どの内容に、どのくらい興味をもっているか」が可視化されているということです。その段階で、そもそも顧客になりうる企業なのかをジャッジすることができますし、営業がアプローチするときは事前に把握している興味のあるポイントを詳細に伝えることができるので、契約の確度がアップしました。

他にも、課題だった「ユーザー行動の可視化」ができるようになったので、Webサイトの1ページ目で離脱していたら違うページを用意するなど、成功と失敗のデータを社内に蓄積することができて、それを“根拠”にして具体的な施策を打つことができるようになっています。

現場の営業が「MICOMA」をデイリーで確認、企業にアプローチを実施

ecbeing 塩見様_2

――御社ではマーケティングが専門ではない塩見さんが「MICOMA」を利用しているということですが、実際の使い勝手はいかがですか?

塩見:半年ほど使ってみて、マーケティングの専門家以外でも簡単に使えるツールだと実感しています。

たとえば、展示会後にステップメールを設定しようとしたとき、一つひとつの属性を個別に調べる必要はなく、ボタン一つで「1回目のメールを開封した企業」とシンプルにグループ分けができるので、こういうところは専門知識がなくても使いやすいですね。

また、「MICOMA」を使って分析や施策の実行をしているのは私一人ですが、見込みの企業に対して実際にアプローチする架電チームも「MICOMA」を毎日見ています。

誰から指示をされるわけでもなく可能性の高いところを自分で見極めて電話をかけたりしているので、設計思想通り「営業マンでも使える」ツールだと感じています。

斉藤:「MICOMA」は他のMAと比べると使える機能は少ないのですが、現場の営業がシンプルに使うことができる「営業を支援するツール」という印象ですね。弊社のよう「マーケティングチームはいないけど、マーケティング施策をしっかりやりたい」と考える企業にはおすすめします。

――

株式会社ecbeing

斉藤 淳、塩見 駿介

●取材・文:廣田喜昭

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