
洋服やコスメティック、家具、電化製品などECサイトで購入できないものがないほど、多くの企業がオンラインで商品を販売している現在、競合他社との差別化を図り、売上アップを目指すのは容易なことではありません。
ECサイトの売上アップに貢献する効果的なマーケティング施策のひとつとして、動画の活用が挙げられます。
自社のECサイトでのマーケティング施策として動画の活用を検討しながら、「実際に動画を掲載する場合、どのように活用できるのか知りたい」「活用によるメリットが分かりづらい」と感じる担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ECサイトに動画を活用するメリットや注意点、具体的な動画の例について解説します。
【目次】
■ECサイトで動画が活用される理由
■動画コマースと動画ECとの違い
■ECサイトに動画を活用するメリット
・1.商品の魅力を伝えやすい
・2.ユーザーの商品に対する疑問・不安を払拭しやすい
・3.SEO対策につながる
・4.他社との差別化を図れる
・5.他媒体へ流用できる
■ECサイトに動画を活用する際の注意点
・1.制作に時間とコストがかかる
・2.動画制作に関するスキルやノウハウが必要
・3.サイトの読み込みが重くなりやすい
■ECサイトに活用できる動画の例
・1.ハウツーを紹介する動画
・2.コーディネートの仕方を紹介する動画
・3.商品の生産工程を紹介する動画
・4.商品の比較検証を行う動画
・5.顧客へのインタビュー動画
■動画の活用でECサイトの売上アップを目指そう
ECサイトで動画が活用される理由
近年、ECサイトで商品の特徴やポイントをアピールできる動画を活用している企業は少なくありません。この背景のひとつとして、スマートフォン(以下、スマホ)やパソコンなど、インターネットに接続できるデジタル機器の保有率が幅広い世代で高まっている事実があります。
▼インターネット利用端末の種類
引用元:総務省『 令和3年版 情報通信白書 』
総務省『令和3年版 情報通信白書』によると、2020年時点でインターネット利用率は83.4%でした。そのうち、スマホを使ったインターネット利用率は68.3%で、利用端末の中で最も多いとの結果が出ています。
また、スマホの普及とともに、インターネット回線がより安定したことにより、どこにいても動画を視聴できるようになりました。このような背景から、商品を視覚的にアピールできる動画をECサイトに活用するマーケティング施策が注目されているといえます。
出典:総務省『 令和3年版 情報通信白書 』
動画コマースと動画ECとの違い

ECサイトに動画を組み込むことを“動画EC”と表現することもあります。動画コマースと動画ECの違いは以下の通りです。
▼動画コマースと動画ECの概要
区別 | 動画コマース | 動画EC |
概要 | ・動画上で商品を購入できる ・ECサイトへ遷移させる必要がない |
・動画上では商品を購入できない ・ECサイトに動画を埋め込んで運用する |
動画コマースは、ユーザーが動画上から商品を購入できることから、“テレビ通販のスマホ版”とも例えられます。
一方動画ECは、商品の特徴や使い方などの紹介動画をECサイト上に組み込み、集客や商品購入を促す場合に活用できます。ユーザーが動画から直接商品を購入することはできませんが、ECサイトに動画を埋め込むだけでよいため、動画コマースよりも手軽に導入しやすいといえます。
ECサイトに動画を活用するメリット
ECサイトに動画を活用することで、ユーザーへの訴求効果や競合他社との差別化など、さまざまなメリットが期待できます。ここでは、ECサイトに動画を活用する5つのメリットを紹介します。
1.商品の魅力を伝えやすい

動画を利用する最大のメリットともいえるのが、画像やテキストで説明するよりも商品の魅力を伝えやすいことです。
一般的なECサイトでは、テキストや画像で商品の魅力を紹介しています。以前に商品を利用したことのあるユーザーやリピーターであれば商品について理解しているため、問題ありません。しかし、初めて商品を目にするユーザーにテキストと画像のみで商品紹介をした場合、その魅力が十分に伝わらないことがあります。
ナレーションや効果音、照明を駆使しながら動画で商品の仕様や特徴などを紹介することで、ユーザーの視覚に訴えながら商品の魅力を伝えられます。
2.ユーザーの商品に対する疑問・不安を払拭しやすい

動画で商品のサイズ感や質感などを説明することで、ユーザーの疑問・不安の払拭につなげられることもメリットのひとつです。
ECサイトでは、商品の試用や試着ができず、使用感を確認できないというデメリットがあります。特に、高額になりやすい家具や電化製品などは、想定と違った場合の返品作業も面倒になりやすく、不安を覚えるユーザーも少なくないでしょう。
動画で商品の使用感やサイズ感、操作方法などを伝えることで、ユーザーに購入後のことを想像してもらいやすくなり、疑問・不安の払拭につなげられます。
3.SEO対策につながる

ECサイトに動画を組み込み、サイト内のコンテンツを充実させることでSEO対策にもつながります。
ECサイト上でユーザーが動画コンテンツを視聴することで、サイト内滞在時間が伸びると考えられます。動画をきっかけに商品に興味を持ったユーザーが商品ページの情報を確認すれば、さらに滞在時間が伸びるでしょう。
動画を活用してユーザーにとって分かりやすい情報を提供できれば、Google検索エンジンの評価が高まることも期待できます。
4.他社との差別化を図れる

動画の活用は、他社との差別化を図るうえでも有効です。
先述したように、動画の活用はテキストや画像では十分に伝えきれない情報を視覚的に伝えられることが強みです。ブランド独自の世界観や魅力を映像で伝えることで、以下のようなさまざまな効果が期待できると考えられます。
▼期待できる効果の例
- ・ブランドイメージの確立
- ・ECサイトの好感度アップ
- ・競合他社との差別化
- ・顧客ロイヤリティの向上 など
商品の魅力だけでなく、ブランド独自の魅力を伝える方法として、ブランド誕生の歴史や商品の製造工程、デザイナーや製造者へのインタビューなどを動画にして組み込む方法が挙げられます。
5.他媒体へ流用できる

ECサイトに組み込むために制作した動画は、SNSやYouTubeをはじめとした動画配信プラットフォームなど、他の媒体へ流用できるのもメリットです。
▼他媒体への流用の例
- ・SNSに掲載して、“いいね”や“シェア”など、ユーザーの反応を確認して改善につなげる
- ・店頭やイベントで動画を再生して、商材として活用する
ただし、SNSや動画配信プラットフォームに掲載する場合、動画のリサイズが必要になることもあるため、その点は注意しましょう。
ECサイトに動画を活用する際の注意点
ECサイトに動画を活用する際はいくつか注意点もあります。ここでは、3つの注意点を紹介します。
1.制作に時間とコストがかかる

ECサイトに動画を自社で制作する場合、制作担当チームの人材をそろえるほか、動画制作で使用する機材の調達も必要です。
従業員は通常業務と並行して動画制作を行うため、制作に時間がかかることが予想されます。また、自社での制作が難しく映像制作会社へ外注する場合は、その分のコストがかかることも考慮しなければなりません。
解決策として挙げられるのは、自社制作と外注の振り分けです。動画制作のすべてを外注にすると、コストが膨大にかかる可能性があります。一方で、すべてを自社制作にする場合、高品質な動画を短期間で制作するのは容易ではありません。
▼振り分けの例
- ・SNSに流用できるような尺の短い動画は自社制作
- ・動画配信プラットフォームや店頭に流用できるような尺の長い動画は外注
併せて、既存のLP(Landing Page:ランディングページ)や広告の内容を動画内に流用することもひとつの方法です。
2.動画制作に関するスキルやノウハウが必要

ECサイトに活用する動画には、商品の魅力が伝わる分かりやすさや、ユーザーの目に留まりやすい工夫が求められます。
ユーザーにとって魅力的な動画を制作するには、商品の魅力を十分に把握していることはもちろん、それを伝える動画制作のスキルやノウハウも必要です。
自社に動画制作のスキルやノウハウを持つ人材がいない場合は、一部の動画を映像制作会社へ外注することを検討しましょう。また、簡単な操作で高品質な動画制作をサポートしてくれる有料の動画制作ソフトを活用することもひとつの方法です。
3.サイトの読み込みが重くなりやすい

動画を組み込むことによって、ECサイトの読み込みが重くなってしまうことがあることも注意点のひとつです。ページを開くまでに時間がかかると、ユーザーの離脱率の上昇につながる恐れがあります。
▼ページの読み込みの遅さを改善する方法
- ・動画ファイルの画質を下げる
- ・動画ファイルの容量を軽減する
- ・画像データの解像度を下げる
- ・画像データを圧縮して掲載する
これらの方法のほか、ECサイトのサーバー外に動画をアップロードすることで速度の改善を図ることも可能です。動画配信プラットフォームに動画をアップロードして埋め込みタグでECサイトに動画を設置すれば、ECサイトのサーバーにかかる負担を軽減できます。
ECサイトに活用できる動画の例
ECサイトに活用する動画の内容は、「ユーザーの疑問・不安を払拭できるか」「ユーザーのニーズに応えられるか」などの観点で決めることが重要です。ここでは、ECサイトでどのような動画を活用できるか、5つの例を紹介します。
1.ハウツーを紹介する動画

コスメティックや家具、電化製品など、使い方を紹介するのがハウツー動画です。
実際に商品を使っている様子をユーザーに観てもらうことで、商品購入後をイメージしてもらいやすくなります。動画内で、取扱説明書に書いている注意点や使い方のポイントなどを紹介すれば、商品購入後のユーザーへのサポート動画としても活用できます。
2.コーディネートの仕方を紹介する動画

洋服や家具のコーディネートの仕方を紹介する動画もECサイトに活用できます。
販売員による着こなしのポイントを紹介したり、種類の異なる家具の組み合わせ方を紹介したりすれば、一度に複数の商品をアピールできることもメリットです。
例えば洋服に関しては、年齢や体型の異なる販売員に商品を試着してもらい、コーディネートのポイントや着こなしのコツを紹介してもらうことで、ユーザー自身が実際に商品を着用するときのことを想像しやすくなります。
3.商品の生産工程を紹介する動画

ブランドや商品のこだわりを伝えたい場合は、商品の生産工程や制作現場を動画にするのもおすすめです。
「どのような原料を使っているか」「完成までにどのくらいの工程や期間がかかるか」など、こだわりのポイントを動画で紹介することで、ユーザーに商品の付加価値を理解してもらいやすくなります。
また、食品のECサイトにおいては、生産工程を動画にして掲載することでユーザーの安心感にもつながります。
4.商品の比較検証を行う動画

自社商品の優れたポイントをアピールしたい場合には、他社商品との比較検証を動画にするのが有効です。
また、商品をリニューアル発売する場合は、旧モデルとの比較を動画にすることで、どのくらい性能が向上したかを伝えられます。
ECサイトに比較検証動画を組み込むことによって、同じような商品との購入を迷っているユーザーの購買意欲を刺激できると考えられます。
5.顧客へのインタビュー動画

ユーザーの中には、「実際に商品を購入した人の意見を参考にしたい」という方も少なくありません。
商品を購入した顧客による使用感やお気に入りのポイントといったリアルな声を動画にすることで、商品やブランドに対する信頼度アップにつながります。テキストや画像と違い、表情からも顧客の満足度が伝わりやすいのも動画ならではのポイントです。
動画の活用でECサイトの売上アップを目指そう
ECサイトの売上アップを目指すには、ユーザーの疑問・不安を払拭しつつ、ニーズに応えられるマーケティング施策を実施する必要があります。
ハウツー動画や比較検証動画をはじめ、ECサイトに動画を活用することで、ユーザーの“かゆいところに手が届く”効果的なマーケティング施策の実現が可能です。
なお、弊社グループでは、YoutubeやIGTVなどで活用している動画を簡単に自社ECサイトでストリーミング配信できるサービス『visumo』を展開しています。
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