
ECサイトの構築費用は、構築方法や求める機能、オプションなどによって大きく異なります。予算があるなかで、自社ビジネスやブランドに最適なECサイトを構築するためには、構築方法別の相場を把握しておくことが重要です。
この記事では、ECサイトの構築やそれ以外にかかる費用、構築方法別の相場、ECサイト構築時に費用面で確認しておきたいことなどを解説します。
【目次】
■ECサイト構築方法別の費用相場
・1..無料ASP
・2.有料ASP
・3.オープンソース
・4.ECパッケージ
・5.フルスクラッチ
■ECサイトの構築以外にかかる費用
■ECサイトの構築時に費用面で確認したいこと
・1.決済機能は何を利用するか
・2.物流業務を外部に委託するか
■ECサイト構築費用の相場をもとに、構築方法を選ぼう
ECサイト構築方法別の費用相場
導入費や人件費などを踏まえたECサイトの構築方法別の概算 は、以下のとおりです。ただし、これらはデザイン制作 の範囲などによって変動します。
▼構築方法別の費用と期間の早見表
項目 | 無料ASP | 有料ASP | オープンソース | パッケージ | フルスクラッチ |
構築費用 | 無料~100万円程度 | 数十万~100万円程度 | 500~1,500万円程度 | 1,000万円~数億円程度 | 数千万円~ |
月額費用 | 売上に対する利率を支払う | 1万〜10万円程度 | 数万円~ | 数十万円~ | 数十万円~ |
構築期間 | 最短1週間ほど | 2~4ヶ月ほど | 1~2ヶ月ほど | 最短5ヶ月程度 | 最短1年ほど |
カスタマイズ性 | 低い | 低い | 高い | 高い | 高い |
1.無料ASP
無料ASPは、インターネットを経由して提供されるECサイト構築サービス、およびサービスを提供する事業者を指します。無料ASPでは、サーバーの用意やソフトウェアのインストールなどによって環境を整える必要がないため、スムーズにECサイトを始められます。
▼無料ASPの概要とメリット・デメリット
項目 | 詳細 |
構築費用 | 無料~100万円程度 |
月額費用 | 売上に対する利率を支払う(販売手数料や決済手数料) |
構築期間 | 最短1週間ほど |
メリット | ・初期費用が無料 ・スピーディーに導入できる ・初心者でも始めやすい |
デメリット | ・デザインはテンプレートのみ ・売上に対する利率を支払う必要がある ・システム開発や連携はできない |
サービス例 | ・BASE ・STORES など |
無料ASPは、なるべく安価に手軽にECサイトを構築したい方におすすめの方法です。
2.有料ASP
ASPには、有料ASPもあります。有料とはいえ、月額1万〜10万円程度と比較的安価な金額で運用できます。無料ASPと比べると、機能や人的サポートが充実しているのが魅力です。
▼有料ASPの概要とメリット・デメリット
項目 | 詳細 |
構築費用 | 数万~100万円程度 |
月額費用 | 1~10万円程度 |
構築期間 | 2~4ヶ月ほど |
メリット | ・電話対応やセミナーの開催など人的サポートが充実 ・外部ツールやシステムとの連携が可能 |
デメリット | ・システム開発や連携に制約がある |
サービス例 | ・MakeShop ・ecforce ・メルカート ・Shopify など |
有料ASPは、小中規模のECサイトを立ち上げたい法人、予算的に余裕のある個人事業主などにおすすめの方法です。
3.オープンソース
オープンソースは、インターネット上で無償公開されているソースコードを用いてECサイトを構築する手法のことです。ライセンスフリーのため、誰でも利用できます。
▼オープンソースの概要とメリット・デメリット
項目 | 詳細 |
構築費用 | 無料~数百万円程度 |
月額費用 | 数万円~ |
構築期間 | 1~2ヶ月ほど |
メリット | ・コストを大幅に削減できる ・ソースを編集すれば、自由にカスタマイズできる |
デメリット | ・発注側に高い専門性が求められる ・セキュリティレベルが構築ベンダーに左右される |
サービス例 | ・EC-CUBE ・Magento など |
オープンソースは、自社開発のリソースがあり、オリジナリティの高いECサイトを構築したい事業者に向いています。
4.ECパッケージ
ECパッケージは、ECカートに必要な機能がセットになっているサービスのことです。ベンダー(販売会社)が開発や販売を行っています。機能やデザインなどのカスタマイズ性が高く、自社専用の機能を追加することも可能です。
▼ECパッケージの概要とメリット・デメリット
項目 | 詳細 |
構築費用 | 1,000万円~数億円程度 |
月額費用 | 数十万円~ |
構築期間 | 最短5ヶ月程度(カスタマイズによって変動) |
メリット | ・必要な機能が揃っている ・拡張性・カスタマイズ性が高い ・運営サポートが受けられる |
デメリット | ・発注側にもEC事業、システム、セキュリティ領域等の専門性が求められる ・初期費用・ランニングコスト・更新料が高い |
サービス例 | ・Orange EC ・ecbeing ・SI Web Shopping など |
ECパッケージは、メイン事業として本格的にECビジネスに参入したい事業者や、大規模なECサイトを構築したい事業者に向いています。
5.フルスクラッチ
フルスクラッチは、ゼロから完全にオーダーメイドでECサイトを構築する手法のことです。数あるECカートのなかで最も自由度が高く、自社のニーズをすべて反映することができます。
▼フルスクラッチの概要とメリット・デメリット
項目 | 詳細 |
構築費用 | 数千万円~ |
月額費用 | 数十万円~ |
構築期間 | 最短で1年程度 |
メリット | ・自社のニーズに応じたECサイトを構築できる ・すべてを自由に設計・カスタマイズできる |
デメリット | ・発注側にもEC事業、システム、セキュリティ領域等の専門性が求められる ・ゼロからの構築になる為、多額な開発コスト、ランニングコストがかかる ・構築期間が長い ・トラブルもすべて自社で対応しなければならない |
オーダーメイドのECサイトを構築したい事業者にとっては、フルスクラッチも選択肢の一つになるでしょう。
ECサイトの構築以外にかかる費用

ECサイトを構築する際は、サイト構築以外にかかる費用についても把握しておくことが重要です。ECサイトの構築以外にかかる費用には、たとえば以下が挙げられます。
- ・ECカートのシステム利用料金
- ・決済代行
- ・商品の仕入れや製造
- ・撮影の機材・スタジオ代
- ・倉庫、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)
- ・広告や販促費 など
このうち、デザイン制作 の費用はページ数によって大きく変動します。具体的には、特集ページ、ブランドや企業について説明するAboutページ、店舗ページ、読み物ページなどが構築時にどの程度必要なのかによって変わってきます。
他にも、フルスクラッチやパッケージでECサイトを構築した場合、システム開発に費用が発生するケースがあります。システム要件定義、設計、開発、単体・結合テスト、受入れなどの手順で行い、何をどこまで行うかで数千万〜億を超える規模まで大きく変動します。
このように、ECサイトを構築する以外にも費用が発生するため、予算額に注意しましょう。
ECサイトの構築時に費用面で確認したいこと
ECサイトを構築する際、費用面で確認しておいたほうがよいことがあります。ここでは、2つのポイントについて解説します。
1.決済機能は何を利用するか
ECサイト運営に欠かせないのが“決済”に関する機能です。
決済方法を充実させることで、利用者の利便性が向上し、機会損失を防ぐことができます。ただし、そのぶん費用が高くなるケースもあるため、注意が必要です。また、決済方法を増やすと、そのサービスとの契約も別途必要になります。
ECサイトでの決済方法には、主に以下の6種類があります。
▼決済方法の種類と特徴
項目 | 特徴 |
クレジットカード決済 | ・利用者が多い ・不正利用のリスクがある |
コンビニ決済 | ・未成年者をはじめ、クレジットカードを持っていない利用者にも対応できる ・払込の遅延やキャンセルが発生する可能性がある |
代金引換決済 | ・不払いによるトラブルを回避できる ・手数料が高い |
後払い決済 | ・代金の未回収リスクが軽減する ・後払い決済事業者との契約で手数料が発生する |
外部ID決済 (AmazonPay等) |
・入力時間の手間が省けるため、かご落ちを防げる ・ID決済の提供企業と契約する必要がある |
キャリア決済 | ・入力時間の手間が省けるため、かご落ちを防げる ・未成年者をはじめ、クレジットカードを持っていない利用者にも対応できる |
決済方法のなかでも、利用者が多いクレジットカード決済は必須といえるでしょう。不正利用対策としては3Dセキュアなどの対策を検討ください。 手段が多い為、アプローチしたい利用者をもとに、決済方法を選ぶことを推奨します。
2.物流業務を外部に委託するか
新しくECビジネスを始める際、特に重要なのが“物流業務”です。理由は、自社倉庫からの発送なのか、外部に委託するのかによって費用が大きく変わるからです。
自社で物流業務を行う場合、倉庫や人員の確保、物流システムの導入などが必要になります。反対に、物流を外部に委託する場合は、ECサイトの構築費用とともに外注費用も発生します。
ECサイト構築費用の相場をもとに、構築方法を選ぼう
ECサイトは、サイト構築以外にもコストがかかります。また、構築方法によっても費用が大きく変動します。
それゆえに、トータルでどの程度かかるのか概算を算出しておくことが重要です。予算と相場を照らし合わせたうえで、自社に最適な構築方法を選択しましょう。
もし、「自社ECサイトを立ち上げたいけれど、人的リソースやノウハウ的に厳しい」という場合は、ECサイト構築・運営まで一括で任せられる弊社コンサルティングサービスへの相談・依頼も検討してみてください。