
昨今、ECサイトへの集客にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用するケースが増えてきました。
自社でSNSの活用を検討しつつも、「本当にSNSで効果的な集客ができるのだろうか」「自社のECビジネスにはどのSNSが合っているのだろう」などの疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
効果的にSNSを活用するためには、それぞれのメリットやデメリットを把握し、そのうえで自社にとって最適なSNSを選ぶことが重要です。
そこでこの記事では、ECサイトの集客にSNS運用が重要な理由、ECサイトの集客に活用できるSNS、SNSを活用したECサイトの集客方法について解説します。
【目次】
■ECサイトの集客にSNS運用が重要な3つの理由
・1.SNS利用者数が拡大していること
・2.拡散性が高いこと
・3.SNS利用ユーザーの新規顧客が狙えること
■ECサイトの集客に活用できるSNS
・1.LINE
・2.YouTube
・3.Twitter
・4.Instagram
・5.TikTok
・6.Pinterest
■SNSを利用したECサイトにおける集客方法
・1.キャンペーンの実施
・2.インフルエンサーマーケティングの実施
・3.ライブ配信の実施
■SNSを活用して効果的にECサイトへ集客・販促しよう
ECサイトの集客にSNS運用が重要な3つの理由
企業によるSNS運用が進む背景には、いくつか理由があります。ここからは、ECサイトの集客にSNS運用が重要な3つの理由を解説します。
1.SNS利用者数が拡大していること
2022年5月に総務省が発表した 『令和3年通信利用動向調査の結果』 によると、SNSを利用している個人の割合は、2021年から2022年において、6〜12歳を除いたほぼ全ての年齢階層で増加傾向にあります。

画像引用元: 『令和3年通信利用動向調査の結果』
特に、13〜39歳の利用割合は、約90%に達しています。このように、SNS利用者数が拡大していることは、多くの見込み客に対して、SNSを通してアプローチできる可能性があることを意味しています。
2.拡散性が高いこと

SNSは、“いいね”や“再投稿 ”、“シェア機能”などによって、情報を見たユーザーからフォロワーへ情報が拡散しやすい仕組みになっています。そのため、これまでつながりのなかったユーザーにも自社ブランドや商品の情報が広く届く可能性があります。
また、SNSでは多くのユーザーに向けて新しい情報をスピーディに発信することも可能です。簡単な操作で、しかも無料で情報共有できるため、うまく活用することで効果的な販促活動・集客方法になります。
3.SNS利用ユーザーの新規顧客が狙えること
SNSでは、想定していた層とは異なるユーザーにも情報が届くため、自社ファン以外の新規顧客を獲得できる可能性もあります。お得なキャンペーンや割引情報などを発信すれば、見込み客のニーズを刺激できます。
ただし、SNSの種類によっては新規顧客が獲得しにくいケースもあります。各SNSの詳細は次の章で解説します。
ECサイトの集客に活用できるSNS
ここからは、ECサイトの集客に活用できるSNSについて、利用者が多い順に解説します。
1.LINE
LINEは、日本で最も利用者が多く、国内の社会インフラとして定着しているSNSです。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 9,400万(2022年12月末時点) |
ユーザー層 | 若者から高齢者まで全世代で利用されている |
特徴 | ・企業は“LINE公式アカウント”を利用することで、ユーザーと関係を深められる ・オンライン接客サービスの「LINE STAFF START」によって、店舗スタッフとユーザーとのコミュニケーションが可能 ・AbemaTVやTikTokなどと連携した広告配信が可能 |
メリット | ・アクティブユーザーが多い ・トーク機能やメッセージ配信機能などが充実 ・メールマガジンよりも開封率が高い |
デメリット | ・“友だち追加”をしてもらう必要がある ・LINE公式アカウントは初期費用+月額費用がかかる |
2.YouTube
YouTubeは、老若男女問わず、幅広い世代に利用されている動画SNSです。動画で商品のサイズ感や質感、カラー、使い方などの詳細情報を届けられます。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 7,000万人(2022年5月時点) |
ユーザー層 | 年齢性別問わず、幅広い世代に利用されている |
特徴 | ・ライブコマースとしての活用も可能 ・ライブ配信の時間制限がない ・具体的な興味関心によるターゲティングが可能 |
メリット | ・動画によって商品理解が高まるため、購入を妨げる不安を解消できる ・スーパーチャット(投げ銭機能)が利用できる ・Shopifyと連携できる |
デメリット | ・動画制作にコストが発生する ・動画制作のスキルが求められる |
3.Twitter
Twitterは、140文字以内の短文テキストでの訴求に優れたSNSです。新しいトレンドや情報をいち早く届けることができます。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 4,500万人(2017年10月時点) |
ユーザー層 | 10~20代のユーザーが多い |
特徴 | ・企業アカウントでキャンペーンの告知やクーポンの配布などがよく行われている ・文字ベースだけでなく、音声での交流も可能 |
メリット | ・リアルタイム性やトレンド性に優れている ・拡散のスピードが速い ・双方向のコミュニケーションが可能 |
デメリット | ・投稿内容によっては炎上しやすい ・情報が埋もれやすい ・定期的な発信が求められる |
4.Instagram
Instagramは、写真や動画で訴求できるSNSです。ライブ配信機能やショッピング機能などがあり、ECビジネスとの相性に優れています。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 3,300万人(2019年3月時点) |
ユーザー層 | 10~30代の利用者が多い |
特徴 | ・視覚的に購買意欲を高められる ・特に食品、コスメ、ファッションなどのジャンルと相性がよい ・Instagram広告の“20%ルール” (広告やクリエイティブ全体を占めるテキスト割合の制限)が撤廃 |
メリット | ・視覚的に訴求できる ・ショッピング機能でスムーズな購買を促せる ・ハッシュタグ機能で拡散が期待できる |
デメリット | ・質の高い画像や投稿が求められる ・世界観の統一が重要 ・Twitterに比べて情報が拡散しにくい |
5.TikTok
TikTokは、若者を中心に人気が高まっているショート動画SNSです。好きなエフェクトや音楽を追加することで、簡単に動画を作成できます。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 950万人(2019年2月時点) |
ユーザー層 | 10~20代の利用者が多い |
特徴 | ・ビジネス利用のためにプロアカウント(ビジネスアカウント)への切り替えが可能 ・インフィード広告や縦型フルスクリーンの広告を配信できる |
メリット | ・“TikTok売れ”という拡散現象がある ・Shopifyや他のSNSと連携できる |
デメリット | ・現状TikTokのEC機能はテスト運用 ・動画のクオリティやオリジナリティが求められる |
6.Pinterest
Pinterest(ピンタレスト)は、画像や動画をコレクションし、シェアできるSNSです。ユーザー同士の交流よりも、アイディアを検索するツールとして利用されています。
項目 | 詳細 |
国内月間アクティブユーザー | 870万人(2020年12月時点) |
ユーザー層 | Z世代(※1)、ミレニアル世代(※2)が多い |
特徴 | ・Web上の画像や動画をブックマークできる ・商品購入の場として活用されている |
メリット | ・視覚的に訴求できる ・ショッピング機能で自社サイトへの誘導が可能 ・Shopifyと連携できる |
デメリット | ・他のSNSよりも国内のアクティブユーザーが少ない ・拡散されるのに時間がかかる |
※1 …Z世代とは、1990年代半ばから2010年代前半に生まれた世代のこと。
※2 …ミレニアル世代とは、1980年から1990年前半に生まれた世代のこと。
SNSを利用したECサイトにおける集客方法
SNSは、適切に運用することで、集客効果が期待できます。ここからは、SNSを利用したECサイトにおける集客方法について解説します。
1.キャンペーンの実施

期間限定のキャンペーンを実施し、条件を達成した応募者に特典を与える方法です。最近では、ユーザー参加型のキャンペーンが行われることも珍しくありません。
たとえば、自社アカウントのフォローや再投稿、いいね、ハッシュタグを付けた投稿、写真コンテストの実施などのアクションによって、条件が達成される仕組みです。
ユーザーに主体的な行動を促せる、効果的な集客やマーケティング施策の一つです。
2.インフルエンサーマーケティングの実施

インフルエンサーマーケティングとは、SNSで活躍しているインフルエンサーに力を借りて、自社商品やサービスを宣伝してもらうマーケティング手法のことです。
一般的に、インフルエンサーは特定の分野やジャンルに特化しています。ユーザーに刺さりやすい情報発信を得意としているため、協力してもらうことで新規顧客を開拓できる可能性もあります。
ただし、インフルエンサーの選び方を間違えると、想定していた効果は得られません。フォロワー数の多さだけでなく、インフルエンサーの印象やファンとの信頼関係、実績なども確認しておくことが必要です。
また近しい形で『アンバサダーマーケティング』という言葉があります。ワークマン社の取組が有名ですが、インフルエンサーとの大きな違いは単純な広告宣伝に留まらない、金銭が発生しないといった点が挙げられます。
商品の企画からプロジェクトに参加し、機能性や使用感、利用シーンなどアンバサダーのアイデアや意見を取り入れ、ユーザーに受け入れられる商品を開発し、さらにアンバサダー個人のSNSアカウントから、新商品を使ったシーンなどの情報発信をする様な先進的な取組がなされています。
3.ライブ配信の実施

YouTubeやInstagramなどのライブ配信機能は、ライブコマースとして活用できます。
ユーザーやフォロワーとコミュニケーションを取りながら、ECサイトへの誘導が可能です。ユーザーからの質問にリアルタイムに回答することで、商品購入に一歩踏み出せない不安や懸念点の払拭につなげられます。
また、インフルエンサーにゲストとしてライブ配信へ出演してもらえば、インフルエンサーのフォロワーを巻き込むことが可能です。
SNSを活用して効果的にECサイトへ集客・販促しよう
EC集客のためにSNSを活用する際は、アプローチしたい層にマッチしたSNSを選定することが欠かせません。そのうえで、SNSを利用した効果的なキャンペーンやライブ配信などの施策を実行しましょう。
また、ECサイトを立ち上げたばかりの方や、SNS運用体制まで整っていない方は、弊社のECコンサルティング支援サービスの利用を検討してみてください。