
EC(electronic commerce)の運営において、売り上げを最大化させることは重要な課題です。ECの担当者であれば、一度はECサイトの改善に試行錯誤した経験があるのではないでしょうか。
しかし、ECサイトの課題抽出や改善方法を理解していないと、「課題不明のまま進めてしまい、効果を出すことができずにコストだけかかった」という事態が想定されます。
ここではECサイトの改善施策について紹介します。これから改善に向けてスタートする方はぜひチェックしてみてください。
【目次】
■データの収集から始めるECサイトの改善
・【STEP1】課題把握の第一歩はユーザーを知ることから始める
・【STEP2】データを基に仮説を立てる
・【STEP3】比較データから課題を把握してPDCAに落とし込む
■課題に合わせたECサイトの改善例
・1.SEOによる改善施策
・2.ユーザーの意図を満たすコンテンツを制作
・3.ユーザーが利用しやすいECサイト設計
・4.サイト速度を改善
・5.カゴ落ちを改善
・6.EFOによってフォームを改善
■ECサイトの改善ならAtoJコンサルティングサービス
データの収集から始めるECサイトの改善
ECの担当者が日々考えるECサイトの改善は、常に利用者であるユーザー視点から逆引きして課題を考える必要があります。
しかし課題といっても、「何が課題なのか、そもそも分かっていない」「なんとなく悪い箇所は分かっているけど、細かく整理できていない」など漠然としており、手を付けられていない方も多いはずです。ここでは3つのステップで進める方法を紹介します。
【STEP1】課題把握の第一歩はユーザーを知ることから始める
ユーザー視点で考えるとはいっても、データがなければ課題の把握もできません。ECサイトの改善に必要な最初のステップは「良質なデータの収集」といっても良いでしょう。
情報収集例
- ・利用者へのインタビュー、アンケート調査
- ・自社サイトの分析(Google Analytics、Google Search Consoleなど)
- ・競合サイトの調査
【STEP2】データを基に仮説を立てる
ユーザーが自社ECサイトを利用してくれている理由を知ることがもっとも重要です。競合サイトや類似商品と比較した際に選ばれる理由、選ばれない理由を仮説立て、施策に落とし込みます。
食品ECサイト仮説例
- ・初めて購入するECサイトでカード情報を入力することに抵抗がある
- ・ギフトで送りたいが、送り先の住所が手元になく購入手続きをストップ
- ・1商品あたりの容量が多い為、購入を見送っている
【STEP3】比較データから課題を把握してPDCAに落とし込む
比較したデータから傾向に合わせてPlan(計画)・Do(行動)・Check(評価)・Action(改善)に落とし込みます。
仮説に対しての対策例
- ・AmazonPayやキャリア決済など決済方法を強化する
- ・ソーシャルギフト機能を実装し、住所が分からなくてもURLで送れる
- ・少ない容量を組合せて購入できるアソート商品を用意
上記のように仮説に対しての対策を行い、昨年対比と比較して各指標の推移をウォッチしながら改善施策に取り組みます。
課題に合わせたECサイトの改善例
これまでECサイトの改善について進め方と課題を紹介しましたが、実際に具体的な施策を知りたい方もいます。ここではそれぞれの課題に紐付けて具体的な施策を紹介します。
1.SEOによる改善施策
SEO(Search Engine Optimization)は、特定キーワードで検索結果(SERPs:サープス)の上位表示を目指す施策、または手法のことを指します。
検索結果に並ぶタイトルは、1~10位までそれぞれCTR(クリック率)が異なります。1位を目指せば、それだけトラフィックに大きく貢献できますので、それぞれのキーワードで順位を計測しながら、向上させるための施策が重要です。
seoClarityより1~10位までのクリック率例
Position | Japan CTR |
1 | 13.94% |
2 | 7.52% |
3 | 4.68% |
4 | 3.91% |
5 | 2.98% |
6 | 2.42% |
7 | 2.06% |
8 | 1.78% |
9 | 1.46% |
10 | 1.32% |
引用元:seoClarity『 2021 CTR Research Study: The Largest Ever for SEO 』
Googleの基本理念の確認
SEO施策において重要なのは、常に検索ユーザーの検索意図を満たし、ECサイト全体やコンテンツに反映することです。検索ユーザーが考えているヒントとして、Googleから情報も提供されていますのでチェックしておきましょう。
Googleより提供される検索エンジン関連ページ
また、定期的に実施されるアップデートの情報は常に仕入れておきます。例えばE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の導入や、ヘルプフルコンテンツアップデートなどが実施されています。
SEOの施策例
- ・コンテンツ強化
- ・類似コンテンツの精査(カニバリゼーションを無くす)
- ・meta情報の設定・記述
- ・カテゴリ設計の最適化など
2.ユーザーの意図を満たすコンテンツを制作
滞在時間が短いページの課題はユーザーが求めているコンテンツと提供しているコンテンツに乖離があることが考えられます。
コンテンツの乖離例
- ・ユーザーが求めている情報ではなかった
- ・求めいている情報であったが、情報が不足している
- ・表示速度が遅く、ストレスフルな状態だった
こういった課題では、ユーザーが検索してくる想定キーワードから検索意図を紐解き、最適なコンテンツを提供します。また、ページを開いてからコンテンツの表示がされない時間が長い場合、そのまま離脱してしまうので表示速度の改善が必要です。
3.ユーザーが利用しやすいECサイト設計
ユーザーの離脱やページ回遊につながるUX・UIの課題は、最終的にユーザーの利用満足度に帰結します。
ページ遷移を考える改善例
- ・探している商品の検索性や、思いがけない出会い(レコメンド等)は最適か
- ・商品の写真や動画、スタッフによる補足説明など購入判断する為の情報は十分に掲載されているか
- ・カート投入後の購入フローは最適に設計されているか
ほかにも商品情報が分かりにくかったり、視認性・操作性が悪かったりするECサイトは、ユーザー離れにつながります。
4.サイト速度を改善
サイト速度は、ユーザーの滞在時間はもちろん、CVR(コンバージョンレート)や顧客満足度にも影響を与える要素です。さまざまなデバイスから自社ECサイトを快適に利用してもらえるように、サイト速度の改善を検討します。
サイト速度の改善例
- ・GoogleのPageSpeed Insightsに代表されるサイト速度計測ツールを使用して自社ECサイトの表示速度を確認する
- ・商品の画像サイズを見直す
- ・HTMLやCSSなどのコードや不要なファイルを圧縮・削除する
- ・ページ下部のコンテンツのみ遅延表示させる
5.カゴ落ちを改善
商品カートへ入れたままECサイトを離れるカゴ落ちは、販売機会の損失です。カートへ入れた商品を忘れずに購入してもらえる改善を検討します。
カゴ落ちの改善例
- ・送料込みの金額表示
- ・アカウントなしで会員登録できる
- ・返品の交換条件を明確にする
- ・カゴ落ちメールを送る
- ・決済方法(Amazon Pay、キャリア決済、後払いサービスなど)の強化
商品をカートに入れたユーザーは、購入の1歩手前まで進んでいます。そういった温度の高いユーザーを取りこぼさないように改善に取り組みます。
6.EFOによってフォームを改善
ECサイトでは、記入数の多さやエラーが表示されてスムーズに進まないことなどを面倒に感じて、フォーム画面で離脱してしまうユーザーもいます。
そのため、EFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)によって、住所入力や資料請求のフォームの改善を図ることが重要です。
フォームの改善例
- ・入力箇所を少なくする
- ・エラーは入力中にリアルタイムで表示させる
- ・住所の項目に自動入力機能を導入する
購入や資料請求まで進んだユーザーを取りこぼさないように、フォームを含むサイトの細部まで改善点がないか見直す必要があります。
ECサイトの改善ならAtoJコンサルティングサービス
今回はECサイトの改善をテーマに6つの改善施策について紹介しました。初歩的な内容もあれば、施策として見落としがちな情報まであります。
また、ECサイト運営側であるWeb・EC担当者は、Webマーケティングをはじめ、デザイン、データ解析など専門知識や経験が必要です。分析や測定にかかる労力・手間もかかります。
弊社AtoJコンサルティングサービスであれば、ECパッケージ業界No.1ならではのノウハウ・実績を基にした、ECサイト構築・運営・改善サービスをワンストップで提供できます。